【双子妊娠】MFICU入院中の薬物療法|抗生剤・リトドリン・ステロイドの全記録(MFICU編 7/11)

前回の記事では、破水後の双子の成長記録についてお話ししました。
破水してから28週で出産するまでの約1ヶ月、私はMFICUで様々な治療を受けました。
第3回でも入院初日の治療について触れましたが、今回は薬物療法を中心に、1ヶ月間の治療について詳しくお話ししたいと思います。
同じように治療を受けている方、これから入院される方の参考になれば幸いです。
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薬物療法
抗生剤治療(感染予防)
破水しているということは感染リスクがあるため、搬送後すぐに抗生剤の点滴を開始しました。
細菌感染が起これば、早産が引き起こされるだけでなく、赤ちゃんにもママにも重大な影響が及ぶ可能性があります。
私の場合、抗生剤は以下のように投与されました。
入院初日〜3日目:点滴
4日目以降5日間:内服
「なぜ最初は点滴なのに、途中から飲み薬に変わるの?」と疑問に思いました。
最初に点滴を使う理由
破水直後は感染リスクが最も高い時期です。
点滴(静脈注射)の最大のメリットは、薬が血液中に直接入るため、効果が早く・確実に現れること。
内服だと、胃や腸で吸収されてから血液に入るため、効果が出るまでに時間がかかります。
緊急性が高い状況では、まず点滴で確実に抗生剤を投与する必要があるのです。
48-72時間の静注を行った後が前提として、状態が安定すれば内服に切り替える、のが一般的です。
なぜ内服に切り替えるのか
経口抗菌薬へのスイッチを早期から安全に行うことができれば、入院期間の短縮、患者の快適性の向上、点滴に関連した合併症の減少、静注抗菌薬の調整に関わる時間や薬剤コストの削減につながり、大きな利点があります。
【患者にとって】
- 点滴の煩わしさ、動きにくさが改善
- カテーテル感染症等のリスクが下がる
- 点滴の針を刺し続ける痛みがない
- シャワーや移動が楽になる
【医療側にとって】
- 看護師の負担の軽減
- 剤形によるコスト削減
- 点滴の管理に関わる時間の削減
- 発熱がない
- 感染の兆候がない
- 食事が取れている
- 全身状態が安定している
これらの条件を満たせば、内服に切り替えられます。
私の場合
入院3日目までは点滴で抗生剤を投与。幸い発熱もなく、感染の兆候もありませんでした。
4日目からは内服に切り替え。
内服に切り替わってからは、点滴の針が取れて動きやすくなり、とても快適に過ごせました。
それでも感染予防の効果はしっかりあり、入院中ずっと発熱なく過ごせました。
リトドリン(張り止め)
24週で破水した私は、いつ陣痛が来てもおかしくない状況だったため、少しでも妊娠期間を延ばすためにリトドリンの点滴が開始されました。
基本的にずっと刺しっぱなしで、5日ごとくらいに反対の腕に刺し替えていました。
シャワーに入る際は看護師さんに、刺している部分が濡れないよう防水テープを巻いてもらっていました。
リトドリンとは
リトドリン(商品名:ウテメリン)は、子宮の筋肉を緩めて、お腹の張り(子宮収縮)を抑える働きがあり、日本では、切迫早産の治療薬として広く使われています。
リトドリンの投与目的は、陣痛(子宮収縮)を抑えて1日でも長く妊娠を継続すること。
1日でも長くお腹の中にいることで、赤ちゃんの生存率や予後が大きく改善されるためです。
私の場合は、副作用と効果のバランスを考慮して、リトドリンの点滴を約12日間続けました。
12日目に中止した理由
医師からは、こう説明されました。
「リトドリンを入れているから陣痛が抑えられているわけではなく、長期間投与すると母体への副作用のリスクが高まります。今は比較的落ち着いているので、一度中止してみましょう。」
実際、中止後も大きな張り返しはなく、その後も28週まで妊娠を継続できました。
副作用と対処法
リトドリン点滴の副作用は想像以上でした。
主な副作用は、動悸、頻脈、顔面潮紅、ふらつき、嘔気などです。
- 手の痺れ:箸やペンが持ちにくい
- 身体の火照り:4月なのにクーラー必須
- 動悸:夜眠りにくい
そこで看護師さんに相談して量を調整してもらい、それからは数日で慣れてきました。
入院12日目に中止した時は張り返しが少しあり怖かったですが、その後は落ち着きました。
私自身の振り返り
リトドリンの効果は科学的には不確実な部分もありますが、私の場合は投与開始から28週まで妊娠を継続できました。
リトドリンだけの効果とは言えませんが、
- 安静にしていたこと
- 頻繁なモニタリング
- 医療スタッフのケア
- リトドリンでの子宮収縮抑制
これらが組み合わさって、28週まで到達できたのだと思います。
副作用は辛かったけど、「1日でも長く」という目標のために頑張る価値はあったと感じています。
副作用は我慢しないで
副作用が辛い時は、遠慮なく医師や看護師に伝えてください。
量の調整や中止の判断をしてもらえます。
長期投与になりそうな場合は、自分にとって本当に必要かどうか主治医とよく相談することが大切です。
不安に感じた時は迷わず相談し、ストレスをためないことが赤ちゃんとママにとって重要ですよ。
ステロイド投与
ステロイド投与とは
入院初日、部屋へ移動してすぐに、私の腕にステロイド注射を打ちました。
「これは赤ちゃんの肺を成熟させるためのお薬です。」
そう説明されました。
母体へステロイドを投与すると、胎児へ移行して胎児の成熟を促し、早産児の死亡率、呼吸窮迫症候群、脳室内出血を減少させることがわかっています。
投与することで胎児の肺の成熟を促進し、新生児呼吸窮迫症候群、頭蓋内出血および死亡のリスクを低下させます。
つまり、早産になった時に赤ちゃんが自力で呼吸できるよう、肺の発達を促す治療なのです。
なぜ早産児は呼吸が苦しいのか
早産で生まれた赤ちゃんは、肺が未熟なため呼吸困難になることがあります。
肺を拡張させる「サーファクタント」という物質が不足しているためです。
これが不足すると、呼吸窮迫症候群(RDS)という状態になり、自力で呼吸できなくなります。
サーファクタント欠乏が原因で発症したRDSは、呼吸機能不全を引き起こすほか、脳内出血、緊張性気胸、気管支肺異形成症などのリスクを増大させます。
私の赤ちゃんたちは24週。
まだサーファクタントが十分ではない状態でした。
もし今出産になったら、自力で呼吸できない可能性が高い…。
だからこそ、ステロイドで肺を成熟させる必要があったのです。
産婦人科診療ガイドラインでは「妊娠34週未満で1週間以内に早産が予想される場合は、胎児の肺成熟と頭蓋内出血予防のために母体へステロイド投与を行う(24週〜33週は推奨)」となっています。
私の場合、入院初日(24週0日)と翌日(24週1日)に計2回、24時間ごとに腕に筋肉注射を打ちました。
コルチコステロイドは胎盤を介して胎児に吸収され、サーファクタントの生産を促進します。
この注射を開始すれば、胎児の肺は48時間のうちに、出生後に呼吸窮迫症候群を起こさない、あるいは起こしても比較的軽度で済む段階にまで成熟する可能性があります。
つまり、ステロイドを打ってから最低でも48時間、できれば7日間はお腹の中にいることが重要。
だから、リトドリンで陣痛を抑えつつ、ステロイドの効果が現れるまでの時間を稼ぐ必要があったのです。
早産に備えた重要な治療
早産の危険性がある女性にコルチコステロイドを投与すると、出生後に赤ちゃんが呼吸をして生存できる可能性が高まります。
実際、私の双子たちは28週で約1,000gで生まれましたが、2人とも自力で呼吸することができました。
もちろんNICUでのサポートは必要でしたが、ステロイド投与のおかげで、重症の呼吸窮迫症候群にはならずに済んだと思います。
私の場合、特に副作用は感じませんでした。
注射の痛みはありましたが、それ以外は問題なく過ごせました。
振り返って
ステロイド投与は、早産に備えた最も重要な治療の一つです。
「もし打たなかったら、赤ちゃんたちは自力で呼吸できなかったかもしれない」
そう思うと、搬送後すぐにステロイドを打ってもらえたことに感謝しかありません。
24週で破水した私にとって、このステロイド注射が、赤ちゃんたちの命を救う大きな一歩だったと思います。
治療の成果:28週まで継続できた理由
適切な薬物療法の効果
「破水かも?」と思った時にすぐ病院に連絡し、緊急入院となって早めに適切な処置を受けられたことは本当によかったと思います。
もし少しでも遅れていたら、今とは違う未来が待っていたかもしれません。
早急にMFICUがある医療機関で治療を受けられたこと、そして3つの薬物療法(抗生剤・リトドリン・ステロイド)を適切なタイミングで受けられたことが、28週まで妊娠を継続できた大きな要因だったと思います。
医療スタッフとの信頼関係
破水しているため、本当にいつ陣痛が来るかわからない状態の毎日。
そんな中でも先生や看護師さんはひとつひとつ丁寧に説明してくれたり、「何か困っていることは無い?」とこちらが話しやすい環境を作ってくれました。
副作用が辛い時や不安な時も、遠慮なく相談できる関係があったからこそ、治療を続けることができました。
適切な薬物療法と医療スタッフの細やかなケアのおかげで、なんとか双子の赤ちゃんたちを妊娠28週までお腹の中で育ててあげることができました。
次回は、MFICU入院中の検査・モニタリングについて詳しくお話しします。
- 1日3回のNSTはなぜ必要?
- エコー検査では何を見ている?
- 血液検査・おりもの検査の意味は?
同じように悩んでいる方の参考になれば幸いです。
▼次回の記事はこちら
※この記事は、妊娠中の一個人の体験記録です。
症状や経過には個人差がありますので、体調や治療については必ず医師・医療機関へご相談ください。














