NICUに入院した双子の治療は、正直なところ専門的なことはよく分からないまま始まりました。

人工呼吸器や点滴、たくさんのモニターに囲まれた小さな体を前に、「ちゃんと大丈夫なんだろうか」「この先どうなっていくんだろう」そんな不安を毎日抱えていました。

それでも面会に通い、ほんの少しずつでも成長していく姿を見る中で、親として感じたこと、救われたことがたくさんあります。

この記事では、妊娠28週で生まれた双子がNICUで受けた治療や、日々の成長を見守る中での正直な気持ちについて、当時の記憶をもとにお話しします。

同じように、早産や小さく生まれた我が子の成長に不安を感じている方の心が、少しでも軽くなれば幸いです。

人工呼吸・点滴・モニターに囲まれたNICUでの生活

改めて見ると怖かったNICUの機械

NICUに初めて入ったとき、目に入ってきたのはたくさんの機械でした。
人工呼吸器、点滴のポンプ、心拍や呼吸を管理するモニター。
どれも赤ちゃんの命を守るために必要なものだと分かっていても、その数の多さに圧倒され、「こんなに小さい体で耐えられるのだろうか」と不安になりました。

機械の音やアラームが鳴るたびに、「何か起きたのでは?」と心臓がドキッとしたことも何度もあります。それが2人分となるとなおさら…。
この環境に慣れるまでには、少し時間が必要でした。

それでも2人は一生懸命生きていた

そんな環境の中でも、双子は一生懸命生きていました。
小さな胸が上下するのを見て、「ちゃんと呼吸してる」「今、生きている」そう実感できる瞬間が、何よりの支えでした。

機械に守られながら、確実に前に進んでいる姿に、私のほうが勇気をもらっていたように思います。

NICUで受けた治療や手術

はじめは戸惑うことばかりだった

NICUでの治療について、最初は分からないことだらけでした。
医師や看護師さんから説明を受けても、専門用語が多く、「理解できているようで、実はよく分かっていない」正直そんな状態だった時もありました。

それでも、その都度質問したり、説明を繰り返し聞いたりしながら、少しずつ状況を理解していくようになりました。

お兄ちゃんが受けた治療と手術

 お兄ちゃんが入院中に受けた手術

  • 動脈管閉鎖術

動脈管閉鎖術とは 

※当時、医師から説明を受けて理解した範囲でまとめています。

生まれつき開いたままの動脈管(動脈管開存症)を閉じる治療法で、主にカテーテル治療(閉鎖栓やコイルで内側から塞ぐ)と、開胸手術(直接縫合やクリップで閉じる)の2種類があります。最近は体への負担が少ないカテーテル治療が主流になりつつありますが、患者さんの状態によって適切な治療法は異なります。

動脈管開存症とは 

※当時、医師から説明を受けて理解した範囲でまとめています。

出生後、自然に閉じるはずの動脈管が閉じない状態。早産で小さく生まれた赤ちゃんの場合、閉じにくいケースがあると言われています。動脈管が閉じないと、心臓には多く血液が流れ、一方で脳や腎臓などの臓器には血液が不足するという事態になります。そのままにしておくと体のあらゆる場所に負担がかかるため、薬剤や手術で動脈管を閉じる必要があります。

お兄ちゃんは、生後3日目に薬剤(インドメタシンやイブプロフェン)での治療を開始しました。しかし、その後エコー検査してもなかなか閉じ切らない動脈管…。できれば手術は避けたかったですが、薬の副作用(腎臓への負担やむくみ)が見られたことなどから、生後18日目に動脈管を閉じる手術を行いました。

手術は開胸手術で、左胸の脇を少し開き、動脈管を直接クリップで留める方法でした。

手術時間は1時間ほどで、あっという間に無事終わりましたが、全身麻酔ということもあり、1000gほどの小さな体にとってはかなり負担だったと思います。

頑張ったお兄ちゃん、本当に偉かったです。

お兄ちゃんが入院中に受けた主な治療

  • 黄疸を予防する光療法
  • 人工呼吸管理
  • 動脈管開存症に対する薬剤治療
  • 強化母乳(ミルク)
  • 点滴(栄養や痛み止めなど)
  • 服薬(鉄剤やビタミンDなど)

弟が受けた治療と手術

弟が入院中に受けた手術

  • 動脈管閉鎖術
  • 壊死性腸炎及び消化管穿孔疑いによる開腹手術(2回)
  • ストーマ(人工肛門)閉鎖術

壊死性腸炎とは 

※当時、医師から説明を受けて理解した範囲でまとめています。

腸管の粘膜が損傷・壊死する重篤な病気で、主に未熟な早産児に起こります。腹部の張り、嘔吐、血便などの症状があり、進行すると腸に穴が開いて腹膜炎や敗血症に至ることもあり、絶食、抗菌薬、全身管理が基本で、重症例では手術(人工肛門など)が必要になることも。原因は腸の未熟性、低酸素状態、腸内細菌の異常などが複合的に関与すると考えられています。

ストーマ(人工肛門)とは

 ※当時、医師から説明を受けて理解した範囲でまとめています。

病気や事故などで肛門や尿道を使えなくなった場合に、手術でお腹に作られる便や尿の新しい排泄口(人工肛門・人工膀胱)のこと。腸や尿管の一部を体外に出して造られ、ストーマ装具(採便・採尿袋)を使って排泄物を溜めていきます。

弟は生後9日で壊死性腸炎の診断を受けました。その日から絶食と抗生物質で全身管理をし、腸の状態が落ち着くことを願っていましたが、その4日後さらに状態が悪化。どうやら腸に穿孔(穴)が空いてしまったようでした。

このままでは腹膜炎や敗血症など命に関わることになるため、穴が空いた部分の腸を切除し、そこにストーマ(人工肛門)を付ける手術が行われました。

手術時間は3時間。小さな体にとって大きな負担です。それでも、執刀する先生はなるべく負担をかけないよう、迅速に手術をしてくださいました。命に関わる大きな手術でしたが、NICUや外科の先生やスタッフの方々のおかげで、無事に手術を終えることができました。

その後、体重が3000gを超えたところで、ストーマ閉鎖術を行い、その後も一度穿孔らしきものが確認されて再度穿孔部分を塞ぐ手術を行いましたが、しっかりと穿孔部を閉じることができ、現在は他の子と変わらない生活を送れています

弟が入院中に受けた主な治療

  • 黄疸を予防する光療法
  • 人工呼吸管理
  • 動脈管開存症に対する薬剤治療
  • 強化母乳(ミルク)
  • 点滴(栄養や痛み止めなど)
  • 服薬(鉄剤やビタミンDなど)
  • 注腸(造影剤)検査
  • ストーマの装具交換や皮膚保護

同じ日に生まれても、治療はそれぞれ

上記以外にも細かい治療を入れると、入院中は数え切れないくらいの治療を行いました。
日に日に目まぐるしく状態が変わり、受ける治療や手術も様々で、双子でも「一人ひとり違う存在」なのだと実感しました。

当時は大変でしたが、今、2人とも元気に生活できているのはあの日々があったからこそです。頑張った2人、スタッフの方々には本当に本当に感謝しています。

体重とミルク量の変化

ほんの少しの変化に一喜一憂

NICUでの日々は、体重と母乳(ミルク)量に一喜一憂する毎日でした。

ほんの数グラム、数ミリ増えただけで安心し、減ってしまうと理由を探して不安になる。そんなことの繰り返しでした。

思うように増えず不安だった日々

体重が全てではありませんが、小さく生まれたからこそ、体重が増えてほしいという願いは大きかったです。

時には思うようにミルク量が増えず、「このまま大きくなれなかったらどうしよう」と怖くなった時が何度もありました。

体重が増えたときの喜び

「昨日より◯g増えました」

その一言に、どれだけ救われたかわかりません。小さな変化でも、確かな前進に感じられました。

体重が増えてきたときは、「ちゃんと育っているんだ」と実感でき、心から嬉しかったことを覚えています。

双子それぞれの成長の違い

同じ日に生まれても違っていたこと

双子は同じ日に生まれましたが、成長のペースは違っていました。

できるようになること、つまずくポイントもそれぞれ。比べるつもりはなくても、どうしても気になってしまうこともありました。

兄の成長の様子

お兄ちゃんは無呼吸発作(赤ちゃんが一定時間、呼吸を止めてしまう状態)が頻発していました。直母の練習が始まった時も、うまく呼吸をしながら飲むのが難しかったようで、飲んでいる最中に酸素濃度が下がることもしばしばでした。

それでも、無呼吸発作以外は大きな問題は無く、母乳やミルクの摂取量は日に日に増えていき、体重の増えも順調でした。

弟の成長の様子

弟は呼吸に関してはあまり問題なく、直母や哺乳瓶の練習でもあまり苦しくなることなく上手に飲んでいました。

しかし、腸の状態がずっと気がかりでした。腸の一部を切除して短くなっているため、栄養がちゃんと吸収されて体重が増えるかどうか、本当に心配でした。

また、排便はお尻からではなくお腹のストーマから出てくるため、その袋や装具の交換やストーマ周りの皮膚の保護が大変でした(装具はテープで皮膚につけるため、肌が荒れやすい)。それでも、健康的なうんちを出してくれたり、皮膚もそこまで荒れることなく、お兄ちゃんと比べるとゆっくりでしたがちゃんと体重は増えていきました。

道のりは長かったですが、ストーマ造設から約3ヶ月半後、体重が3000gを超えたのでストーマを閉鎖する手術を行うことができました。

医師・看護師さんとの関わり

救われた言葉

NICUで過ごす中で、医師や看護師さんの何気ない言葉に救われることが何度もありました。

例えば、「保育器の中にいるこの子たちに、私は母乳を届けることしかできない…」と自信をなくしかけていた時に、「お母さんはもう十分頑張ってますよ」と言われた時は、思わず涙が溢れてしまいました。

スタッフの方々が親の私たちのことも気にかけてくださったことで、深く落ち込むことなくNICUに通うことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

うまく気持ちを伝えられなかったことも…

不安や心配があっても、「忙しそうだから」「こんなこと聞いていいのかな」と遠慮してしまったこともありました。

また、伝えた内容がうまく理解されていないことがあったり、医療従事者側と親側で赤ちゃんに対する感覚の違いがあったりなど、少しだけギクシャクしたこともありました。

相談することの大切さ

それでも思い切って相談したり、自分たちの意見を正直に伝えてみると、しっかりと話し合いの場を設けてくださり、気持ちが楽になりました。

親も親で必死だけど、スタッフの方々も命を守ることに必死なはず。当時はそこまで冷静に考えられませんでしたが、今振り返ると、同じ目標に向かう“チーム”だったのだと思います。だからこそ、しっかりと聞いて、話して、理解し合うことが大切だと感じました。

いちばん大切なのは子どもたちの命です。言いにくいことや迷うこともあるかもしれませんが、大切な我が子のためにも、しっかりと相談することをおすすめします。

「順調です」と言われるまで

「順調」と言われるまでが長かった

「順調です」という言葉を聞くまでには、思っていた以上に時間がかかりました。

良くなったと思ったらまた悪くなってしまったり、なかなか気が休まることはありませんでした。

そんな中でも、「こっちの具合は順調だよ」「こんなことができるようになったよ」と小さな成長を聞くたび、「ちゃんと他の赤ちゃんたちのように、前進してるんだ」と感じられて、少しずつ安心感が増していきました。

落ち込むことも多かったけれど

結果的にお兄ちゃんは約3ヶ月、弟は約5ヶ月もの間NICUに入院しました。

その間、正直に言うと落ち込むことの方が多かったです。特に弟の腸の手術に関しては、生死もかかっていたため、気が気じゃない時期もありました。

ですが、壁にぶつかった時もしっかりと乗り越えていったのは双子たちでした。その強さに、親としてたくさんのパワーをもらいました。「私たちもメソメソしてられないね」と夫と励まし合い、家族みんなで頑張ることができたと思います。

今振り返って思うこと

双子の出産を通して、命の尊さ、強さ、優しさ…いろんなことを学ばせてもらいました。辛いことも多かったですが、その分喜びや幸せがあったのも事実。

今振り返ると、あの不安な日々も、確かに必要な時間だったのだと思います。

まとめ

NICUでの生活は、不安と心配の連続でした。
それでも、双子の小さな成長や、周囲の支えに助けられながら、一歩ずつ前に進んでいく日々だったと思います。

もし今、同じようにNICUで我が子を見守っている方がいたら、
「不安を感じるのは当たり前」 「一喜一憂していい」
そう伝えたいです。

次回は、NICUでの搾乳や授乳についてお話しします。

  • 早産の場合、どう授乳するの?
  • 搾乳ってどうやってするの?
  • 母乳とミルク、どう併用するの?

同じように悩んでいる方の参考になれば幸いです。

※この記事は、妊娠中の一個人の体験記録です。
症状や経過には個人差がありますので、体調や治療については必ず医師・医療機関へご相談ください。